ノース・シー・ジャズ50周年――マクシマ女王が開幕を祝い、豪華な音楽が溢れた一日
ロッテルダム・アホイで繰り広げられた半世紀の祝祭
熱帯性の暑さが漂うロッテルダムのアホイで、7月11日(金)、音楽フェスティバル「ノース・シー・ジャズ」の第50回記念エディションが幕を開けた。会場の壁面には半世紀分のアイコニックなポスターが飾られ、歴史の重みと祝祭のムードが同居する空間の中、約3万人の来場者が押し寄せた。ペーパープログラムや扇子で涼を取りながら各ステージを渡り歩く観客の姿は、まさに夏の祭典らしい光景だった。
開幕式にはマクシマ女王がフェスティバルディレクターのイレーヌ・ペータースやロッテルダム市長のカロラ・スハウテンとともに会場を訪れ、ハーグ王立音楽院の若き奏者たちによるKCビッグジャズバンドの演奏を鑑賞した。その後、ジャレン・ンゴンダによる滑らかなファルセットが大ホール「ナイル」に響き渡り、フェスティバルの幕が正式に上がった。
「選ぶことが最大の試練」――重なり合う豪華な出演者たち
50周年を記念するにふさわしく、初日のプログラムは出演者が同時多発的に重なり合う構成だった。委嘱作品を演奏するベン・ファン・ヘルダーを聴けば、アーティスト・イン・レジデンスのセシル・マクロリン・サルヴァントを一部見逃す。エスペランサ・スポルディングを選べば、鍵盤の人気者ジョン・バティストを諦めることになる。フェスティバル側のNRCへの取材でも「豪華すぎて選択が苦痛だった」という声が聞かれたほど、ラインナップは充実していた。
サルヴァントはカルテットとともに「アマゾン」ホールに登場し、ユーモアと演劇的な表現力を融合させた圧倒的なステージで開幕を飾った。彼女のパフォーマンスは1990年代のクラブグルーヴからドナ・サマーの名曲「I Feel Love」へと予想外の展開を見せながらも、終始一貫した説得力を保っていた。
一夜の中で最も深い感動を呼んだのは、オランダ人サックス奏者ベン・ファン・ヘルダーによる委嘱作品『The Whole Wide World Is Round』だった。父の闘病と死をテーマに書き上げた約1時間の大作で、映像スクリーンに映し出された星の象徴も相まって、悲しみが音楽へと昇華される瞬間に会場は静かな感動に包まれた。ピアノには弟が座り、家族の物語がステージ上でも息づいていた。
新世代の台頭とクエストラヴの縦横無尽な活躍
今年のフェスティバルが示したもう一つの側面は、新世代アーティストへの注目だ。20歳のイギリス人シンガー、シエナ・スピロは満員の「ダーリング」ホールでアデルを思わせるハスキーな声を披露し、若いファンたちがラストナンバーを大合唱する場面も生まれた。一方、ナッシュビル出身の19歳のギタリスト、グレース・バウアーズはオランダ初のライブとなった今回、骨太なブルースロックと鮮烈なソロで会場を沸かせた。
クエストラヴは初日を象徴する存在となった。ザ・ルーツのドラマーとして、ロバート・グラスパーやクリスチャン・マクブライドとともにジャズとヒップホップを融合させたステージを披露した後、ビラルやジョン・バティストも参加したザ・ルーツのショーで再びステージに立ち、さらに深夜にはフェスティバル会場内で行われた50周年記念アフターパーティのDJセットも担当するという、一夜に三役をこなす活躍ぶりだった。
在蘭日本人にとっても、ノース・シー・ジャズはロッテルダムの夏を代表するカルチャーイベントだ。今年は50周年という節目であり、新旧のアーティストが一堂に会するラインナップはまだ週末も続く。チケット情報や出演スケジュールは公式サイトで確認できる。
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情報源: NRC



