民間賃貸物件の売却ラッシュがオランダの家賃を押し上げている
「手頃な家賃法」施行後の逆説――規制強化が市場縮小を招く
オランダの民間賃貸市場で、家主による物件売却が加速している。賃貸プラットフォームのParariusとHuurwoningen.nlが7月に公表した調査レポートは、この売却ラッシュこそが賃料上昇の主因だと指摘する。過去1年間で平均賃料は1平米あたり4.7%上昇しており、その背景には供給側の急速な縮小がある。
規制と税制が家主の「出口」を後押し
直接の引き金となったのは、2024年に施行された「手頃な家賃法(Affordable Rent Act)」だ。住宅価格の高騰に悩む低・中所得者層を救済する目的で導入されたこの法律は、民間賃貸物件の家賃に実質的な上限を設ける内容だった。しかし結果として、収益見通しが悪化した家主が物件を手放す動きを加速させた。
加えて、資産課税制度であるBox 3の変更も重なった。賃貸物件にかかる税負担が引き上げられたことで、賃貸経営の採算が一段と厳しくなり、売却を選ぶ家主がさらに増えた。オランダ土地登記局(Kadaster)のデータによると、2026年第2四半期には全住宅売却の5.6%が旧賃貸物件だった。同期間だけで761戸が賃貸市場から純減しており、供給不足は数字にも明確に表れている。
残る物件は高価格帯にシフト
市場縮小と同時に進んでいるのが、残存物件の高価格化だ。レポートによれば、月額2,000ユーロを超える物件が市場全体の41%を占め、前年の38.8%から上昇した。手頃な賃貸物件が優先的に売却・撤退しているため、市場に残るのは相対的に高額な物件に偏る構造になっている。
低所得者層にとっては二重の打撃だ。選択肢は減り、かつ平均価格は上がっている。住宅規制の強化が、むしろ保護対象となるべき層を市場から排除する逆説的な状況が生まれている。
在蘭日本人への影響
オランダに赴任・移住する日本人の多くが民間賃貸市場に頼る現状において、この動向は切実な問題だ。駐在員向けの中・高価格帯物件は市場シェアを維持しているが、個人で住居を探す場合、選べる物件数の減少と価格上昇の両方に直面することになる。短期・中期滞在者には特に影響が大きく、住居探しに要する時間とコストが増大している。賃貸市場の構造変化は当面続く見通しであり、渡航・移住の計画段階から住宅費の見直しが必要になりそうだ。
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情報源: DutchNews

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