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「また同じ議論だ」——オランダTV、移民報道が陥るグラウンドホッグ・デー
社会 読了 2分

「また同じ議論だ」——オランダTV、移民報道が陥るグラウンドホッグ・デー

極右用語が公共放送に飛び交う日常、メディアは何を繰り返しているのか

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ある朝、WNL(Goedemorgen Nederland)の番組音楽とともに目が覚める。前の日もそうだったし、その前の日もそうだった——NRCのテレビ評論家は、オランダの移民・難民報道をめぐる一日をそう書き出している。映画『グラウンドホッグ・デー』よろしく、同じ議論が朝から深夜まで繰り返されるオランダのテレビ言論空間を、皮肉を込めて一日追いかけたこの批評は、単なる番組レビューを超えた問いを投げかけている。

「TBSの空き」から「人口置換」まで——朝から積み重なる右派フレーミング

朝の時間帯、WNLの司会者フランク・ファン・レーウェンはデ・テレヘラーフの見出しを読み上げる。内容は「本来オランダにいるべきでない」約50人が司法精神医療施設(TBS)に入所しており、250人以上が待機しているというものだ。共同司会者はこれを「席を占拠している」と表現した。移民が「家を奪う」という言説の延長線上で、今度は「TBSの席まで奪う」という論調が自然に加わっていく。

午後、公共放送ON!(Ongehoord Nieuws)ではコメンテーターのライサ・ブロメスタインが、どこかの町で続く仮設難民施設(AZC)反対デモについて「素晴らしい!これは称えるべきことだ」と絶賛し、「オランダのomvolking(人口置換)に若者が立ち上がる民衆蜂起だ」と語った。「omvolking」は本来、極右が移民によって先住民族が置き換えられるという陰謀論的主張を指す用語だ。評論家は「NPOでomvolgingが語られても、もはや驚かない自分に気づいた」と記す。驚きが薄れること自体が、言説の正常化を示している。

夜のトークショーが映す「対話」の空洞

夕方にはSBS6の『Nieuws van de dag』で、コメンテーターのウィールド・ドゥクとブラム・モシュコヴィッツが再びTBS問題を論じる。評論家は「二人が口を開く前から何を言うかわかっていた」と書く。予定調和の議論が「HaÁ! HaÁ! HaÁ!」という司会者の笑い声で締めくくられる様子まで予想できたという。

夜7時以降、各局はAZC反対デモを「onrust(騒乱)」という言葉で横並びに報じた。デモには地元住民でない参加者も多く含まれ、市役所の窓ガラスが割られた。それでもトークショーでは「市長の説明不足」という文脈で語られ、暴力行為の責任よりも行政の「コミュニケーション不足」が問題の核心として扱われた。

深夜のBNNVARA『Pauw & de Wit』では、デ・テレヘラーフ編集長とデ・フォルクスクラント編集長、警察官、デモ参加者が一堂に会した。テレヘラーフ編集長は「気候活動家より反AZCデモ参加者の方が厳しく取り締まられるのは不公平だ」と主張し、警察官に否定された後も「感覚的には正しい」と繰り返した。司会のヘロン・パウフは冒頭に「亡命者の受け入れについて話し合う」と宣言しただけで、あとはパネリストに任せた。評論家の描写は辛辣だ——「自分はほとんど何も言わなくてよかった」。

ループが続く先に何があるか

翌朝、また同じ番組音楽で目が覚める。また「vreemdelingen(外国人)」という言葉が聞こえてくる——評論家はそう締めくくる。問題は個々の発言の過激さではなく、それが朝から深夜まで複数の局で反復・強化され、視聴者がその言説に「慣れていく」構造そのものにある。オランダに暮らす外国籍の住民にとっても、この報道の空気は無縁ではない。自分たちをめぐる議論が毎日テレビで繰り広げられながら、当事者の声が届くことのない「ループ」が今日も続いている。

情報源: NRC

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