ユトレヒト大学、レッドブル報酬を未開示の准教授を倫理調査へ
「エナジードリンクは安全」研究の背後にあった利益相反疑惑
ユトレヒト大学が、薬理学部の准教授ヨリス・フェルスターに対する倫理調査を開始した。エナジードリンクやアルコールに関する学術論文を発表する際、レッドブルや米製薬会社Sen-Jamからのコンサルタント報酬を開示していなかった疑いが持たれている。調査のきっかけは、オランダ紙『Trouw』や調査報道メディア『De Groene Amsterdammer』『Investico』など複数のメディアによる一連の報道だった。
企業との「重複」が問題視された研究活動
フェルスター准教授はコンサルタント業務のためにNeuroClinicsという個人会社を設立しており、その業務内容は自身の学術研究と頻繁に重なっていた。ユトレヒト大学はコンサルタント業務そのものを禁止してはいないが、論文発表時には利益相反ルールに基づき、関連する副業の開示が義務付けられている。今回の問題はまさにこの開示義務が守られていたかどうかをめぐるものだ。
彼が手がけた研究の一つは、Sen-Jamが製造する二日酔い防止薬に関するもので、学生へのアンケートを基に「この薬を服用しても飲酒量は増えない」と結論付けた。また2010年に発表された研究では、レッドブルを1缶飲むことでシミュレーター上の運転成績が向上すると報告しており、「Can Red Bull fuel better driving?(レッドブルは運転の燃料になるか?)」という見出しで発表された。さらに、エナジードリンクとアルコールの混飲が攻撃的な行動や危険な性行為につながるという主張に反論し、「混飲によって飲酒量が減り、無謀な行動が抑制される」とも論じている。
専門家は「大学を私的目的に利用」と批判
アムステルダム大学医療センター(UMC)の医療倫理学教授マリエット・ファン・デン・ホーフェンは、フェルスター准教授の手法について「大学を個人の目的のために利用することであり、利益相反にあたる」と厳しく批判している。学術論文における利益相反の開示は、研究の独立性・中立性を担保するうえで国際的にも重視されている慣行であり、今回の疑惑はその根幹に関わる問題とも言える。
フェルスター准教授本人は5月初めから病気休暇中で、『Trouw』の取材に対し「多くの企業のコンサルタントを務め、軽微な関与であっても全ての論文に明記してきた。ユトレヒト大学にも報告し、承認を得ていた」と反論している。大学側は現在も調査を継続中であり、結論が出るまでには時間がかかる見通しだ。
在蘭日本人にとっての視点
今回の一件は、学術研究と産業界の資金的な結びつきという普遍的な問題を改めて浮き彫りにしている。エナジードリンクの健康影響をめぐる議論はオランダでも活発で、特に若年層の消費行動に関わるだけに社会的関心は高い。ユトレヒト大学の調査結果は、今後のオランダにおける研究倫理の運用基準にも影響を与える可能性があり、学術・医療分野に携わる在蘭日本人にとっても他人事ではない展開と言えるだろう。
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情報源: DutchNews



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